【完】愛し君へ、愛の口づけを
結局、翔のせいで昼飯を買えなかった俺らは屋上で空を仰いでいた。
「お腹すいたぁ」
「今からでも間に合うだろうから、買ってきてやろうか?」
「んーん。いい!お兄ちゃんと一緒にいたい!」
「・・・お前急に甘えるようになったな」
「いいでしょー別に!」
「まぁ、可愛いけどよ」
俺は莉央の髪を撫でた。
嬉しそうに微笑む莉央。
「そういや、授業どうだった」
「友達がノートたくさんとっといてくれたからなんとか!」
「いじめとかもなかったのか」
「うん?ないよないよー?」
「それならよかったよ」
「心配してくれてたの?」
「ったり前だろうが」
「ありがと!」
問題は翔。
あの様子だとまだ莉央に近づいてくるだろう。
莉央が俺の事を好きだと言ってくれていても
好きだった相手が近づいてくれば気にならないはずがない。
今の翔に勝算はないだろうけどな。