【完】愛し君へ、愛の口づけを

幸せなひと時はあっという間に過ぎていく。




なぜか、この日を境にして莉央は俺を避け始めた。

家にいても
俺に触れる事がなくなり、

話を聞こうとしても用事があるからと部屋に閉じこもる。


学校の登下校もほとんど何も話さなくなった。

俺が喋った事に対して莉央が「うん」などの返事を返すだけ。






・・・翔のせいだ。


絶対にそうだ。

翔のせいだ。




翔に何か言われたんだろう。

俺と関わりにくくなる事を。



何を言われたか知らないが、助けないと。

翔の手から。





だけどどうすればいい?

俺は莉央になんて声をかければいいんだ。




今の莉央は俺の手からするっと簡単に零れ落ちてしまう水のようなものだ。


・・・そんな莉央に何か言ってもいいのか。

もしかしたら
翔の元に行ってしまうんじゃ・・・。






悪い方向へと考えが回っていく。


人間だれしもプラス思考に出来る人は少ないと言うが、
俺はまさしくマイナス思考に持っていける達人だ。
< 81 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop