視線の先



はやせ るい…。


俊史の後を追いかけながらも、俯いてしまう私。


まさか、本当に会えるなんて。


会えたらいいなとは思っていたけど、それが実現するなんて。



俊史が前電車で言ってた"るい"って
やっぱ、はやせるいの事だったんだ。


2人は仲良しなんだ。



「あぁ、俊史。おつかれ」


るいは、首にかけたタオルで汗をぬぐいながら言う。


相変わらずの長身に坊主頭。
キリッとした大きな二重まぶた。
筋の通った綺麗な鼻。


俊史の方がイケメンかもしれないけど、やっぱりるいもかっこいい。


俊史のときとは比べものにならないぐはい、胸が高鳴った。



「るい、彼女はミッシェル女学院の生徒会長さん。交流会で来てもらったんだ。」



るいがちらっと私を見下ろす。



「はっはじめまして!ミッシェル女学院の椎名鈴香です!」


動揺を必死で隠し、ペコっと頭を下げる。



「あぁ。朝の。」



朝…?


「そうそう。朝電車一緒だった子だよ。」



俊史も笑って言った。



朝って…。



「え⁈朝同んなじ電車なの知ってたの⁈」


もはや動揺なんか隠せなかった。


向こうも知ってくれてた。


私の存在に気付いてくれてた。


もう嬉しくて仕方がなかった。



「知ってるよ。」


るいは少し笑って、また練習へと戻って行った。

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