視線の先
「はよー」
音楽室の扉を開くと、ボーカルの雛がアンプの調整をしていた。
「あー、あー、あー、あ!おはよ!鈴香!」
雛の隣に用意してあったアンプの前でギターを取り出し、チューニングをする。
「おっはよん!」
「おはよー!」
ベースの麗、美華も登校してきた。
もうすぐ新入生歓迎会があり、今日も朝早くから集まって練習をする。
ただでさえ遠いので早く家を出なければならないが、朝練の日はそれに輪をかけて早く出発しなければならない。
初めの頃は起きるのが苦痛で仕方がなかったが、るいの存在に気づいてからは、むしろ朝練の日が楽しみになっていた。
「じゃあ、まず通してやってみよかー!」
雛の元気な声がマイクを通し、アンプから聞こえる。
「おっけー!」
美華がドラムのスティックをならし、曲が始まる。
1.2.3.4ー…