視線の先



「はよー」



音楽室の扉を開くと、ボーカルの雛がアンプの調整をしていた。


「あー、あー、あー、あ!おはよ!鈴香!」


雛の隣に用意してあったアンプの前でギターを取り出し、チューニングをする。


「おっはよん!」
「おはよー!」


ベースの麗、美華も登校してきた。


もうすぐ新入生歓迎会があり、今日も朝早くから集まって練習をする。


ただでさえ遠いので早く家を出なければならないが、朝練の日はそれに輪をかけて早く出発しなければならない。



初めの頃は起きるのが苦痛で仕方がなかったが、るいの存在に気づいてからは、むしろ朝練の日が楽しみになっていた。


「じゃあ、まず通してやってみよかー!」


雛の元気な声がマイクを通し、アンプから聞こえる。


「おっけー!」


美華がドラムのスティックをならし、曲が始まる。


1.2.3.4ー…
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop