視線の先
「塁、ゲーセンよろーぜ」
早く帰りたい気持ちもあったが、
直哉が言うから仕方なく部活帰り寄り道した。
ふと目に入ったUFOキャッチャー。
かわいい目のしたワニのぬいぐるみ。
気づいたらそのぬいぐるみは俺の手の中にいて。
あの子にあげれたらって思ってた。
その日の晩、明日は一緒に行けないって俊史から連絡が来た。
って事は明日は1人か。
…もし、もし彼女が起きてれば。
話しかけよう。
次の日、ワニを渡した後の彼女の笑顔を見て
すぐにでも抱きしめたい気持ちになった。
俺、この子の事好きなのか?
いや、だってまだ話したのも二回目で…
ただ、そんな理屈じゃない。
彼女を愛しく思う気持ちは
本物。
…そう、俺は浮かれてたんだ。
何でいつもは寝てる彼女が起きていたのかなんて考えてなかった。
何で俊史が今日いなかったのかなんて考えてなかった。
俺と同じ目で彼女を見ている奴がいるなんてー…