カローナ姫の黒猫
リリスは、小さくため息をつきながらカローナに向かってそう言い放つ。
「いやよ!あんなおじさんが婚約者だなんて…私は認めないからね」
カローナは、キッとリリスを睨み付けながら毒を吐く。
見た目に反してハキハキ言う性格のようだ。
「まぁ…!おじさんなどと…まだシルヴィ様は、45歳ですよ!」
「おじさんに、おじさんって言って、何が悪いのよ!会うたびに私のこと気持ち悪いくらい見てくるし、もう耐えられないわ!」
ウルウルと瞳に涙をため、カローナは顔を真っ赤にして怒鳴る。
シルヴィと言うのは、このサァーフィア国から南に少し下ったユナハ国の王。
かなり小太りで頭もハゲかかっているため、実年齢よりもかなり年老いてみえる。
そのうえ、かなりの女好きと有名で、カローナのことを毎回、なめ回すように見てくるのだ。
最初は、耐えていたカローナもシルヴィとの結婚なんて考えられないようで最近では、シルヴィが城を訪れている期間は、反抗からか部屋から出てこなくなっていた。