カローナ姫の黒猫
「ルイのお祖父様に…」
「そう。あろうことか…ね。北大陸では当時、魔法使いや魔女がまだ多くてね。大叔母もそんなうちの1人だったんだ…まぁ、僕自身大叔母には会ったこともないんだけど…去年、これを見つけてね…」
そう言って、スッとユージスが取り出したのは…。
「本…、ううん、日記帳かしら…?」
かなり古びてはいるが、表紙にDIARYと書いてあるのが見えて、カローナはそれが日記帳だと気づく。
「そう、大叔母の日記さ。ここに事細かく綴ってあったよ。ルドルフへの想いやら、彼をこっぴどくフラレたこと…そして、魔法のことなんかもね」
「……」
彼の大叔母…その魔女は、いったいどうしてルイに呪いをかけてしまうことになったのだろう。
ルイの祖父への復讐…?
それとも…。
頭の中でぐるぐると、考え込むカローナだったが答えなんか出るはずもなく…。
しかし、彼女が考えていたことに気づいたのか。
「まぁ、ルイも大叔母の被害者ではあるんだ。ルドルフと間違って魔法をかけられたんだから…それに関してはご愁傷さまって感じだね」
と、ユージスがおもむろに口を開いた。