カローナ姫の黒猫
「…ハァ。君ならそう言うかなって薄々思ってはいたけど…」
そう言って、カローナに向かってユージスは冷めた目つきで手をかざす。
その瞬間、パアッと彼の手が光りを放ち始めカローナは身体を強張らせた。
「何するつもり…?」
恐る恐る問いかける彼女に対し。
「言葉で言ってもわからないみたいだからさ、ちょっと魔法をかけさせてもらうよ」
ニコッと優しく微笑みながらとんでもないことを言うユージスにカローナはギョッとする。
「…魔法を?」
「そ。心配しなくても大丈夫…。身体に害はないから、ただ、ルイのことを忘れてもらおうかなって。大丈夫痛くも痒くもないから」
…!?
光がだんだんと強くなっていく。
カローナは頭の中では逃げないとと思っていたが足が竦んで動けなかった。
瞳からポロポロと涙が溢れてくる。
あぁ…そうか。私、もうルイのこと…。
誰が…助けて。
そう心の中で強く願った瞬間。