カローナ姫の黒猫
*漆黒の王子
―――…不思議な黒猫、ルイと出会った日から今日で1週間。
「やっぱり、あの時のことは夢だったのかしらね…?」
ルイという猫と話した出来事もカローナにとっては、遠い過去のように思えていた。
そう、今夜、カローナはシルヴィと婚約を結ばなくてはならない。
「姫様!そろそろ、パーティーの準備をしなければ…お着替えを」
リリスの声に、彼女は諦めたかのように素直に立ち上がった。
…仕方ない、これが私の運命なんだから…。
「そうね。準備しないと」
そう自分に言い聞かせるように呟くカローナは、途中から黙ってギュッと唇を噛みしめる。
リリスは、そんなカローナを心配そうに見つめるが、どうすることもできずただ俯くばかり。
「リリス、お願いね」
カローナは、せめてリリスに心配をかけないようにふわりと、優しい笑みをこぼした。