カローナ姫の黒猫


『あった…!この魔法だわ。これで、王子様は私のもの。そして、きっと私を好きになってくださるわ』


ある朝、魔女がようやくその魔法を見つけた時。


すでにあの告白の日から、50年という長い月日が経っていました。


しかし。


『はやく、王子様に会いにいかないと!この薬を飲めば美しくなれるわ』


ゴクリ。


自分で作った薬で美しくなった魔女は、気づかなかったのです。


あの日からどれほどの年月が経っているかということに…。


『ふふ、とっても綺麗よ。さぁ、あとは王子様が私に虜になる魔法をかけるだけ…』


魔女は、鏡で美しくなった姿を確認すると、その足で王子様がいるはずの城へと向かいました。

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