カローナ姫の黒猫
「カローナ姫…?」
「うふふ。そもそも自分の娘と同じくらいの年の女性を妻になんて…。先程も一方的に私の手を触るし、気持ち悪いったらなかったですわ」
最後に嫌味までつけてシルヴィに文句を告げたカローナはようやく生き生きした表情を浮かべる。
あー、すっきりした!
今まで、溜まりにたまった不満もたったこの一言だけで解消された気がしたのだ。
シルヴィの愕然とした今回の表情で今までのことは、チャラにしてあげるか…。
そう思いながら、カローナはフッと微笑んだ。
…それにしても、本当にシルヴィとの結婚を破棄してしまえるなんて夢にも思わなかったな。
カローナは、楽しそうな表情のルイに視線を移す。
そして…。
「ルイ、ありがとう…本当に私の願いを叶えてくれて…嬉しかった」
心の底からそんな感謝の言葉を伝えたのだ。
「そんなの当たり前。カローナは俺の妃になるんだし」
「…うん?え、それって…本気なの?この婚約破棄をするための口実じゃなくて…?」
私が小さくそう呟いた時。
ゴーン、ゴーン…。
0時を告げる鐘が場内に鳴り響く。