カローナ姫の黒猫
「すまん。時間がない、行くぞ!」
「え、ちょっと…!?」
ゴーンと、鐘の音が響きわたる中、ルイはカローナを抱きかかえ会場を出ていく。
シルヴィ含め、他の貴族たちも状況が読み込めず、二人の姿を見送ることしかできなかった。
「…っと、この辺でいいか」
人気のない茂みにルイはカローナをソッと下ろすと近くに座り込む。
ゴーン…。
遠くで最後の鐘が鳴り響いた。
その瞬間、周りがパァッと明るくなり、思わずカローナはギュッと、目を瞑る
な、なに?この光…!?
そして、数秒たちおそるおそるカローナがが目を開けてみると…。
「わりぃ、驚かせたな」
申し訳なさそうに呟くルイは、最初に会った時と同じ、黒猫の姿に戻っていたのだった。