カローナ姫の黒猫
昨日のシルヴィとの婚約破棄事件から一変。
カローナは、慌ただしい毎日を過ごしていた。
実は、翌日になって目を覚ましたカローナは、猫の姿のルイからすぐにでも、オルテカ国へと来てほしいと頼まれたのだ。
そのため、彼女はオルテカ国へと持っていく自分の荷物を仕分けする羽目になったのだが、何分量が多いため準備に時間がかかってしまう。
それに対して、レインから嫌味を言われていたと言うわけだ。
よくよく聞いたら、レインはカローナと同い年。
言葉遣いが丁寧だから、年上のように感じていたレインがカローナと同い年と聞いて最初はすごく驚いた。
しかし、よく考えればルイだってカローナとは2歳しか違わないのだからそんなものだろう。
――コンコン。
ノックの音が聞こえ、入ってきたのは父親だ。
「カローナ、本当に行ってしまうんだな…この城も寂しくなるよ」
なんて言う父の顔は、いつになく嬉しそうで、彼女はジロリとにらみつける。
そりゃ、父が喜ぶのも無理はない。
うちみたいな地域の小さな城の姫が、東大陸を取り仕切るオルテカ国に嫁ぐことになったのだ。