カローナ姫の黒猫

その後。


「…カローナ、あと数刻でオルテカ国の領土に入りますので」


「わかったわ…!」


レインは、彼女にそれだけ告げると、手に持っていた本へと視線をうつす。


カローナはというと、馬車から見える景色に目を奪われていた。

だって、生まれてこのかた城の外にだってほとんど出たことがなかった彼女にとっては初体験のことばかり。


あら、あの花は初めて見るわ…!

まぁ…畑があんなにたくさん!

珍しいものが多くて目移りしてしまう。


なんだかんだで、レインとの馬車の旅は、カローナが思っていた以上に楽しいものとなったのだった。

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