カローナ姫の黒猫
あぁ…。やっぱりね。いくら見た目を美しくしても王子様は私のことを好きにはなってくださらない。
でも…あの時からずっと私は、あなただけをお慕いしていました。
本当は、この魔法をかけるのは心苦しいのだけれど…仕方ないですよね?
魔女はそう思いながら、おもむろに呪文を唱え始めました。
そう、それは彼女がもう一つの手段として残していた王子様を虜にする魔法だったのです。
『…っ!?』
王子様の孫は。かけられた魔法を浴びました。
うふふ。これで彼は私の虜に…。
しかし、次の瞬間。
『…え、ど、どういうこと?』
目の前にいた王子様の姿が忽然と消え、あろうことか小さな“黒猫”へと姿を変えてしまったのです。
そう、魔女は間違った魔法を王子様の孫にかけてしまったのでした。
『この魔法は…っ!も、戻れ!戻りなさい!!』
そのことに気づいた魔女は、慌てて魔法をかけ直そうとしましたが、上手くいきません。