カローナ姫の黒猫
「そんなことよりもお姉さまのお部屋は……キャッ」
「ロコちゃん!?」
楽しそうに曲がり角を曲がろうとしたロコに、誰かがぶつかり、小さい身体は突き飛ばされたような形になり、尻もちをついた。
カローナは、慌てて彼女の元にかけより、その小さな身体を抱き起こす。
「…っふぇ」
よほど痛かったのかロコの目には、うっすら涙がうかんでいた。
カローナは、すぐさまぶつかった人物をキッと睨み付けると。
「ちょっと危ないじゃない…!」
そう言って、ぶつかった人物を見据える。
そこにはやけに整った顔の男性が立っていた。
年齢はカローナと同い年くらいだろうか。
銀髪の綺麗な髪がサラッと風に揺れている。一見すると女性と間違えてしまいそうなくらいに線も細い。
しかし。
「気を付けなよ」
彼はそれだけ言い残しその場を立ち去ろうとした。
ぶつかったにも関わらず、謝罪の一言もない非常識なその行動にカローナは、思わず目を見張る。