カローナ姫の黒猫

「カローナ様ですね。以後お見知り置きを」

恭しくお辞儀をするナチにカローナは、フフッと微笑む。

そして、そのまま彼がロコに視線を向けた時、表情がカチンと固まる。


「…え?貴女…ロコ姫…?」

「…誰だ?」

「ユージス様…!今日の朝、私の説明聞いてました?東大陸を統括するオルテカ国第一王女のロコ姫ですよ」

ナチは顔面蒼白で、ユージスに向かって説明をしだした。

そうよね。ロコちゃんはこの国の第一王女のだし顔を知らない人なんてこの城にいるはずないわよね…?

ロコの顔を知らないユージスという存在にやや疑念を抱くカローナだったが…。

「…えっと、そしたら貴女様は…」

「え?私…?」

第一王女と一緒に行動をしているカローナが誰なのか気になったのだろう。

ナチにそう尋ねられ、思わず口ごもる。


すると今まで黙っていたロコが

「私のお姉さまよ」

と、満面の笑みでそう言い放つものだからナチの口角が引きつるのをカローナは見逃さなかった。
< 77 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop