カローナ姫の黒猫


「……すみません。私の記憶が正しければこのオルテカ国には、ロコ姫以外の姫はいないはずなんですけど…?」

ナチが少し困ったような表情でロコに問いかける。

「そうよ?でも今日から私のお姉さまなの!だって、カローナお姉さまは、ルイ兄様の花嫁なんですもの」

可愛らしい笑みを浮かべてロコが声を上げると。

ナチはポカンとした表情でカローナを見つめ、ユージスでさえ目を見開いて驚いているように見えた。

驚くなと言う方が無理な話かもしれない。 

たった数日で急に決まった婚約に、オルテカ国への遠征。

城内全てに話が行き渡ってなくてもおかしくない状況であるのも事実で…。

「それって…本当なんでしょうか…?カローナ…様が第一王子の妃…?」

おそるおそるナチがカローナに向かって問いかけてきた。

さっきまでの態度から一変、緊張したように顔を強ばらせている。

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