カローナ姫の黒猫


その言葉にキョトンとした顔を浮かべるカローナ。

そんな彼女に対して。

「ルイの妃って言うわりに…アイツのこと何も知らないんだな」

呆れたように吐き捨てるユージスの言葉にカローナは絶句する。

「それって…どういう意味…?それに貴方は何者なの?」

「…お姉さま?」

不穏な空気を察したのか、ロコがギュッと手を握りしめてきた。

「僕が何者かって…?そんなことも知らずにルイの妃とは、やっぱり笑わせてくれるな」

ゾクッ。

ユージスの冷たい視線がカローナに向けられる。

全身に鳥肌が立つのを感じ、カローナは思わず数歩後ろに下がった。

その時。

「僕の名前はユージス・ハイルフ。ノスタルア王国の第一王子だよ。以後お見知りおきを、カローナ姫」

…ノスタルア王国、第一王子…。

それは、北の大陸を統一する国。
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