カローナ姫の黒猫
「…ルイ?」
それは、まぎれもなくルイの声。
「ユージスに会ったんだって?レインから聞いたよ」
軽やかに窓から入ってきたのは黒猫姿のルイだった。
「うん、そう。まさかあんな所でノスタルア国の王子様に遭うなんて思わなかったわ」
そう言うとカローナは、ルイに向かって曖昧な笑みを返す。
「まさか、来てるなんて思わなくてな。この姿になってから、他国との付き合いを極力避けてたんだ。レインに任せたりしてな。俺がこんな呪いにかかってることが他国にバレるのは避けたいんだよ。しかも、今日のパーティーにも来るんだろ?全くレインも余計なことをしてくれた…」
ルイは尻尾をだらんと下げながら嫌そうにそう言い放った。
そのルイの姿に私は思わずクスリと笑みをこぼす。
猫って尻尾で感情がわかっちゃうのよね。
「へぇ?ルイはユージスのこと苦手なの?」
「苦手…というか。ユージスはちょっと勘が鋭いからな」
ピョンとベッドの上に飛び乗りつつ、ルイは答えた。