カローナ姫の黒猫
*パーティーでのキス
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「…すごいわ。こんなの見たことない」
今日何度目かの感嘆の声を上げるカローナは、今夜開かれるというパーティーの会場を見て息を呑む。
サーフィア城なんかより、何倍も広い室内の天井にはキラキラ輝く宝石があしらわれたシャンデリア。
参列している貴族たちも皆、豪華な衣装に身を包み、楽しそうに談笑している。
だからこそ。
私、ここにいて大丈夫かな…?
ルイが私みたいな田舎の姫なんかと結婚だなんて、周りが何というだろう。
そんな不安が彼女の脳裏を過ぎった。
綺羅びやかな雰囲気の御令嬢たちの姿を見て、益々自分と比較してしまい良くない方へと考えが進む。
その時だった。
「カローナお姉さま!!」
「ロコちゃん…?」
レースがあしらわれたピンクのドレスに身を包んだロコが嬉しそうに近づいて来るのを見てカローナはホッとする。
「わぁ…!ロコちゃん、ドレスすごく似合ってる」
「ありがとうございます…!カローナお姉さまもすごく素敵ですわ!」
彼女のそんな言葉に思わず、カローナは顔を綻ばせた。