カローナ姫の黒猫
彼女が着ているドレスは、水色を基調としたマーメイドドレス。
正直、似合っているかはさておき、ロコがそう褒めてくれることが素直に嬉しかった。
「あら…?ほら、ロコ姫よ」
「あいかわらず、可愛らしいわね〜」
「本当に、将来が楽しみだわ」
ちらちらと、こちらを見ながら噂話をする貴婦人たちの話し声が聞こえてくる。
やっぱりロコちゃんは、可愛いし噂の的のようだ。
そう考え、カローナが微笑んだ時。
「…そういえば、ロコ姫の隣にいる方はどなたかしら?」
「見ない顔ですわね」
ドキッ。
貴婦人たちヒソヒソと、自分のことを話しだしたものだから思わずカローナは身をすくめる。
そうよね。私のこと知らないのも気になるのは当たり前だわ。
知り合いもいない彼女にとって、そんな貴婦人たちの視線が若干居心地悪い。
しかし。
「お姉さま、あっちにおいしい料理があるんです!一緒に取りに行きましょ?」
一生懸命、手を引っ張るロコのおかげで気持ちが少し軽くなった。