カローナ姫の黒猫
「えぇ。行きましょうか」
「こっちです…!」
と、彼女に連れていかれるがまま、料理が並ぶテーブルへと向かっていた途中。
「カローナ姫、ロコ姫、今宵はお招き頂き光栄です」
背後から誰かに声をかけられ、カローナとロコは振り返る。
そこに立っていたのは…。
「ユージス…様」
満面の笑みで微笑むユージスだった。
「…先ほどは失礼しました。ルイ王子の花嫁とは露知らず、無礼な態度をとってしまい…お許しください」
……だ、誰?
先ほどとは打って変わって、丁寧な口調で言葉を紡ぐユージスにカローナは目をパチパチとしばたたかせる。
「…い、いえ。こちらこそ、先ほどは失礼をいたしました。ノスタルア国の王子様とは知らずに御無礼を…」