カローナ姫の黒猫
彼に合わせて丁寧な言葉遣いでカローナも謝辞を述べた。
すると。
「まぁ…ノスタルア国のユージス様よ!あいかわらずお美しいわ〜」
「本当にね。もう、あの瞳で見つめられたらいちころよ!」
ユージスの存在に気づいた御令嬢たちがキャッキャッと、楽しそうに会話をしている姿が目に入る。
なるほど…。ユージスってモテるのね。
確かに黙っていれば美青年な彼。
それに普段は先ほどの立ち振舞いだとすれば紳士的に感じるはずだ。
しかし、彼の本性を知っているカローナにとっては違和感バリバリで…。
にこやかに笑みを浮かべるユージスの読めない表情に恐怖を覚える。
「…お姉さま、早く行きましょう」
ロコもそんなユージスに違和感を覚えているようで、カローナを促すようにドレスの裾をキュッと引っ張った。