恋愛歳時記
気がついたときには、私の視界には天井の白いクロス。
座ったままで押し倒されたので、なんだか変な形でベッドに寝転がっていた。

征司さんは、プロレスのホールドの失敗バージョンみたいな形で私の肩口に顔を寄せている。

「違う! 『おっぱい星人』じゃない」

なんか否定されると余計あやしいんですけど。

「俺とお前の付き合いに胸のデカさは関係ない」

ふむふむ、それで?

「ただ、昨夜お預けくらった可哀想な俺だったことはわかってほしい」

まあ、そうだね。
煮え切らない私も悪いところはある。

「正直、余所のオトコにいやらしい目で見られてるのを黙ってみてるのはツライ」

うん、もう一息。

「お前にキスしたいし、触りたい。抱きたいし、一緒に眠りたい。待つって言ったからには我慢するけど、その服は反則」

目の前で伏せてる征司さんの顔は見えない。
でも、耳は真っ赤だった。

かわいいなあ。
7つも上だけど、かわいい。
口には出せませんが。

その代わり、征司さんの耳元で囁いた。

「我慢しなくていいって言ったらどうする? 私だって同じ気持ちだって言ったら?」

すぐに噛みつくようなキスが降ってきた。






< 19 / 27 >

この作品をシェア

pagetop