Secret Fetishism【SS集】
彼は今日も、あの瞳(メ)であたしを見ている。
斜め前のデスクから視線を送って来る同期の彼は、切れ長の綺麗な瞳(メ)と独特のオーラのせいで、女子社員から注目を浴びている男。
いつもあたしを見ているくせに、決して目が合う事は無い。
あたしが目を逸らせば、再び視線を感じて。
また彼の方を見るけど、やっぱり視線は合わない。
何度も視線を感じるのに、一向に目が合う事は無くて。
いつの間にか、その視線が気になって仕方なくなっていた。
普通に会話だってするし、笑顔だって向けてくれるのに。
あの視線は何……?
あんなにあたしの事を見ているのに、仕事は同期の誰よりも出来るなんて。
綺麗な瞳(メ)で見ているくせに、あたしが見ると視線を逸らすなんて。
ずるい――。