Secret Fetishism【SS集】
“後戯”って言葉があるけど、何よりの後戯は腕枕なんじゃないかと思うくらい。

敢えて言葉にするのなら、“蜜戯”なんてピッタリかもしれない。


ただ、さすがに腕が痺れるんじゃないかと思ってそっと頭を上げると、すぐに彼の瞼がピクリと反応した。


「……どうした?」


眉を寄せて掠れた声で尋ねた彼が、あたしを引き寄せる。

「腕、痺れるでしょ……?」

「余計な心配してんじゃねぇよ」

「でも……」

「イイから黙って寝てろ」


強引に抱き竦められたあたしの頭は、また彼の右腕の上。
重怠い体と瞼のせいで、すぐに思考が落ちていく。



「あ〜、落ち着く……」

彼が呟いた言葉を聞いたのは、優しい夢の中だった――。





             END.


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