Secret Fetishism【SS集】
梅雨が明けたばかりの、日曜日の昼下がり。
爽快に晴れ渡っている空に心が弾むのを感じながら、グッと伸びをした。


「また洗濯してくれたのか?」


ベランダから舞い込んで来る風の香りを満喫していると、少しだけ不思議そうな、だけど理由を読み取ったような声が背中に届いた。


「だって、好きなんだもん」


『何が?』と言いたげな寝起きの彼の瞳が、あたしを捉えたまま微笑む。


洗濯が好き。
柔軟剤の柔らかい香りが好き。


あたしが綺麗にした服を身に着ける彼の香りは、もっと好き――。



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