Secret Fetishism【SS集】
目の前には、見慣れたパソコン。
背中越しに伝わって来るのは、先輩の逞しい胸元と体温。
終業後のフロアに残っているのは、もうあたし達だけで。
静か過ぎるその中で、心臓が煩いくらいにドキドキと高鳴っている。
「さて、どうしようかな」
耳元で響いた囁きに、背筋が粟立(アワダ)つ。
どうしてこんな状況になったんだろう――。
人よりも仕事の効率が悪いあたしに、親切に付き合ってくれていた二つ年上の彼。
いつも丁寧に指導をしてくれる度に彼の声に惹かれていた事も、その声が聞こえる度に反応していた事も。
全部、全部バレていたなんて…。
だけど…
色んな事を考える頭の片隅では、もっとあの声で囁いて欲しいと思う――。