Secret Fetishism【SS集】
「もっと欲しいなら、俺の女になる?」

「え……?」

驚いて振り返りながら顔を上げると、間近に顔を寄せていた彼が口元を緩めた。


「だって、これは……」

妖艶な笑みがあたしの目の前を通り過ぎ、耳元で止まる。


「恋人の特権、だから」


甘くて低い囁きが、あたしの芯を淫らに撫でて。
更には、先輩の指先が耳たぶを掠め始める。


「恋人になったら好きなだけ名前を呼んであげるし、飽きるくらい囁いてあげるよ?」

迷う暇も与えない視線に、あたしはただ無言で頷いた。


「ちゃんと言って。じゃないと、おあずけだから」

「っ、意地悪……しないで下さい……」

「ダメ。ちゃんと言って」

意地悪な声があたしの耳を犯し、心までも侵していく。


あたしはもう戻れない事を悟りながらも、従順に口を開いていた――。





             END.


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