Secret Fetishism【SS集】
「……近過ぎ」


クスッと笑う彼の声に、自分の鼻先が彼の首筋にある事に気付く。


「そんなに好き?」

「うん」


好きだよ。
あなたの香りも、あなたも――。


あぁ、そうか……

あたしがこの香りを前よりもずっと好きになったのは、あなたの香りと混じっているから。


一際甘い蜜を持つ花が蝶を誘うように、一際甘い香りを放つあなたがあたしを誘う。


「あんまり誘惑するなよ」


困ったように笑う彼に、あたしは微かに口元を緩める。




誘惑したのは、あなたでしょう――?





             END.


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