Secret Fetishism【SS集】
「あ、待って。あたしが」
ネクタイを取った彼の手を制して微笑むと、彼が少しだけ呆れたように笑った。
今日のネクタイは、一番のお気に入り。
彼の首に掛けて結び、キュッと締めた。
「似合ってる」
「そりゃどうも」
「自分を褒めたのよ」
「は?」
「だって、これを選んだのはあたしだもの」
「……なるほど」
彼がハンガーから取ったスーツの上着も、すかさず奪う。
「ダメ、これもあたしがするの」
苦笑する彼に、上着を羽織らせた。