月のしずく

翌日の朝は、雨が降っていた。




「弘っ!早くしないと遅刻するって!」



洗面所の順番待ちをしていた姉の夏希が急かしてきた。





「まっへ、もうひょっほ。」


歯ブラシをくわえながら答えた。





朝ごはんを食べ、歯を磨いて、いつものように準備をする。





「弘人!帰って来たら洗濯物出しといてねっ!お母さん今日遅くなるからっ!お姉ちゃんもよっ!」

「「はーい。」」



姉と一緒に返事をする。





うちは共働きで父親は単身赴任、母親は昼と夜の両方働いている。



朝ごはんは母親で、晩ご飯は当番制。




家族の仲は結構良い。








「ほんじゃ、行ってくるから!」



教科書のあまり入っていない、軽いカバンを持って家を出た。











昨日……綾咲大丈夫だったかな?



今日なんて声かけるべき?





バンッ!!




そんなことを考えていると、後ろから背中をおもいっきり叩かれた。




「痛っ!誰っ!?」

「ジャーン!」







後ろを振り向くと、昨日とは打って変わって元気な彼女がいた。




「弘くんっ、おはよー!」
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