月のしずく
次の日から、俺は毎日彼女を送ることにした。



「弘人ってさぁ、綾咲と付き合ってんの?」


突然だった。

高校で友達になった聡が変なことを聞きだした。

「は?何でまた。」




俺は少々呆れ顔。


「だってさ、最近一緒に帰ってんじゃん。昨日だって丸山が見たって言ってたぞ?楽しそうに話しながら帰ってたって。」



そんな噂が流れてるなんて知らなかった。


「本当かよ?それっ、綾咲は……。」



聡は頷いた。


「知ってるだろうな。だってみんな知ってるぜ?多分知らないのお前くらいだろ。」



俺はその時改めて思った。




噂って怖いな。って。


中学のときにも、俺の友達が色んな噂を流された。



夜に危ない他校のヤツとつるんでるとか。

お酒とタバコは当たり前、麻薬をやってるとか。


見た目が少々派手だったからか、噂は先生にも広まって、一時は親も呼び出された。




「ヤバいな。」


俺は昔の経験からそう感じた。



「何がだよ?いいじゃん、噂くらい。勝手に言わせとけよ。」

「お前は甘いんだよっ!俺が良くてもあっちが傷付くかもしれないんだぞ!」



いつもあまり怒鳴らない俺が怒鳴ったからか、聡はかなり驚いていた。
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