同じ月を見る
ベッドの上でひざを抱えて小さくなり、逢いたいの塊が詰まったような溜息を吐き出した時、携帯が震えた。
……―――― 隆太。
「もしもし」
自然と弾む声は、とても気恥ずかしい。
だけど、それを隠すこともできないほどに、彼の声が愛しくて仕方ない。
『季実夏、今何してた?』
寂しくて、隆太のこと考えていたよ。
本当は、そうやって甘えて言いたい。
だけど、やっぱりいい子の私はつまらない嘘をつく。
「テレビ見て笑ってた」
強がってしまう自分は、バカだなって思う。
寂しいって、甘えちゃえばいいのに。
だけど、困った隆太の顔を想像したら、やっぱりそんな風には言えなくなる。