同じ月を見る
「隆太。今日も出張だったんだよね? お疲れ様」
『うん、ありがと。今仕事が終わって、ホテルに向かってるところ。それで外歩いてたら凄く綺麗なもの見つけたから、季実夏にも見て欲しくて電話したんだ』
「綺麗なもの?」
『ちょっと、空見られる?』
「うん」
隆太に促されて、私は窓辺に近づく。
桜色のカーテンを開け、窓の外を覗いた。
「わぁ。綺麗」
うっとりするような声が、私の口から自然と漏れ出る。