sweet milk【完】

がんばれと言われても、
どうしていいかわからないまま
黙って立っている私に達弥先輩は、

「ここ座りな。なんか飲みなよ。

アルコールしかないけど、酒弱い?」

弱いか強いかもわからずに、
ともかくうなずいた私に

「じゃあ、はいこれ。

甘くて飲みやすいと思うから」

そう言ってピーチフィズの
小さい缶をくれた。

「ありがとうございます」

少し、声が震えてしまった。

微かにほほえんでくれた
達弥先輩と目が合って、

耳の奥でドンドンと心臓が鳴った。

恥ずかしいのと息ぐるしいので、
一気に飲み込んだピーチフィズの味は

甘く辛く、おいしかった。

二本目を飲み干したあたりで、
胸と喉の奥がじんわりと熱くなった。
< 17 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop