sweet milk【完】
がんばれと言われても、
どうしていいかわからないまま
黙って立っている私に達弥先輩は、
「ここ座りな。なんか飲みなよ。
アルコールしかないけど、酒弱い?」
弱いか強いかもわからずに、
ともかくうなずいた私に
「じゃあ、はいこれ。
甘くて飲みやすいと思うから」
そう言ってピーチフィズの
小さい缶をくれた。
「ありがとうございます」
少し、声が震えてしまった。
微かにほほえんでくれた
達弥先輩と目が合って、
耳の奥でドンドンと心臓が鳴った。
恥ずかしいのと息ぐるしいので、
一気に飲み込んだピーチフィズの味は
甘く辛く、おいしかった。
二本目を飲み干したあたりで、
胸と喉の奥がじんわりと熱くなった。