sweet milk【完】
それはきっとシャツのようには簡単に
脱ぎ捨てられない何か。
私は今までずっとそれを身につけていたんだと。
気づいた。
秋雄にそれを剥ぎとられながら、
秋雄のそれを剥ぎとりながら。
「大丈夫・・・・・・・・・」
自分の声が、普段より低く
ありえなく柔く、しめっぽく聞こえた。
秋雄の指の十本がすべて、
私の胸をつかんでは離し、
止まってはすべり。
ふいに敏感な場所に触れられると
どうしようもなく体は、小さく跳ねた。
何度も、何度も。
くちびるを深く深く吸われ、
呼吸も意識もすべてが絶え絶えになる。
この時、十四歳のあの日の出来事を
秋雄はまだ知らない。