sweet milk【完】
「大好きなの。でもだめ。こわい」
「違う」よりさらに何度も、
何度も私は言った。
大好きなの。秋雄。あなたの事が。
したくないんじゃないの。
でも今はまだできない。
ごめんね。できない。
希望と、期待を。
秋雄のためにではなく自分のために
無意識につないでいた。
「今は」と。
「無理やりには…しないから。
そんなふうに、怖がらせたくない」
長い沈黙のあと、秋雄がぽつりと言った。
汗で額にはりついた私の髪を
指ではらいながら、
「しんどいけど」と笑った。