sweet milk【完】
その日から本当に秋雄は
私の体に触れる事をしようとはしなかった。
何かで私が落ち込んでいる時、
やさしく頭をなでてくれたり
青信号に気づかない背中をそっと押してくれたり、
そういった場面以外、
私の体が自然にこわばってしまうような触れ方は
一切しようとはしなかった。
けれど、こんな事でいいのだろうか。
だって秋雄は男の人だから。
あの時「しんどいけど」と笑った以上に、
私にはわからないしんどさを
抱えているに決まっている。
何度か不安にもなった。
私から秋雄が離れていってしまったらどうしよう。
けれどももしそうなったとしても、
私にはそれを止める権利はないんだ、と。