sweet milk【完】
先輩達の会話から偶然その事を知った千香は
泣いて私に謝った。
泣けもしなかった私に、
何度も何度も謝り続けた。
けれど、千香は悪くないと、
その時の私にはどうしても言えなかった。
許すような、謝られるような理由もないのに、
千香の罪悪感を解放するための言葉が
どうしようもなく言えなかった。
その事が原因なのかはわからないけれど
夏の終わりに千香は彼氏と別れ、
私達は二度と話す事もないまま中学を卒業した。
不愉快な痛みだけが残った、あの凄惨な行為。
それを今、私は再びしようとしている?
違う。
違わない。
違う。
全然、違う。
匂いもかたちも、あれる息も。
想いが、とどろく。
「つながりたい」と。
秋雄の指の動きで私はもう、
自分の体がとけ始めている事がわかる。