sweet milk【完】
受け取ると、 秋雄の腕をぎゅっと無意識に
つかんでいたらしい指先が
じんとしびれている事に気づいた。
冷たいウーロン茶が、体中にしみわたる。
横に座った秋雄の腕に触れると、
微かに熱を帯びていた。
「腕、ごめんね。痛かった?」
首を振る。
「芽衣が、すごく痛いんだなぁってのは伝わったけど。
…もう、やめてもいいよ」
「えっ、なんで?」
「だって痛そうでかわいそうだから。
・・・・・・あー!でもなぁー」
言いながら突然、恥ずかしそうに笑う。
「この状態で言うと、
なんかものすごい説得力ないっつーか、
強がり全開ぽくてマヌケだけどなぁ」
秋雄のそこは、
彼がばつの悪そうに照れるのは無理もないくらい、
「やめる」気なんてかけらもなさそうなほど
大きくて、かたそうで、たっていた。
私は思わず、ちょっと真剣に見つめてしまった。
「な、なに…?」
秋雄がたじろぐ。
私の中に入る、秋雄の一部。
入れたいな、とやっぱり思う。
「・・・・・・やめたくないな。」
今日。今。ここで。
秋雄としたい。全部。
(うちあけたい)
その時、初めてそう思った気がする。
一生誰にも言わないつもりだった
あの日の事をすべて。