sweet milk【完】
秋雄が私の中から出ていくと、
私達はまたいつもの一人と一人に戻った。
下腹部の痛みは、
消え去ってしまえばきっとさびしいような
生まれて初めて感じる、
不思議でいとしい存在だった。
息を吸う。吐く。
秋雄の匂いと私の匂いが混ざり合った、
初めてかぐ匂いがする。
秋雄が私の体に
タオルケットをかけながら言った。
「シャワー浴びる?」
「ううん。浴びない」
もったいなくて、浴びたくない。
汗と唾液と体液で。
私の体は今、この世に生まれてから一番、
ぴかぴかにきれいなんだから。
・・・あの時は、すりむけるかと思うくらいに
体中を洗ったけれど。・・・・・・・・・ねえ。
「ねえ秋雄」
「何?」
私は、秋雄と今日した事すべてがうれしかった。
私は、いつかとても好きな人と
こういう事がしたいと、ずっとずっと思っていた。
昔からだよ。中学生の頃からかな。
頭の中だけは、ませていたから。
恋やキスやセックスとかを早く、
男の人としてみたかった。