sweet milk【完】

「?何?どうしたの、芽衣」

「…秋雄」

「うん」

「私の事、好き?」

秋雄の手に私の手を重ねると、

それはうっすらと汗ばみ、あたたかく、

大きく、かたい骨をおおう皮膚はやわらかく、

どこまでもやさしかった。


私は何もわかっていなかった。

熱も匂いも。厚みさえ。

恋人同士がはだかになって抱き合う、

その意味の大きさを。


あの日、私が先輩に抱かれたのは。

突然で強引な行為だったから。

きっと、それだけじゃなかった。

千香や他の女友達の初体験の話を聞くたびに、

私はいつもくやしかったから。

「女」として「男」に見られている彼女達が

とてもうらやましかったから。だから。

先輩のキスと、「好き」という言葉を聞いた時、

あの時にもうすでに私は。

そう。

期待していた。

先輩の体が、私に向かって動き出すのを。

どこかで私は・・・・・・・・・受け入れていたんだ。

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