sweet milk【完】
「ねえ、好き?」
涙がこぼれた。
驚いて私を見つめる秋雄の目の黒に
私がうつる。深い闇の黒。
せつないほど私を好きだと言っている。
その目に私の心は、語り続ける。
『賭けの対象』と『練習台』の事実に
打ちのめされていなければ。
「初エッチはねえ、中二の時。
二個上の先輩に押し倒されちゃってさー・・・・・・」
バカな私はあの高校の教室で、
笑いながらそう友達に話していたと思う。
傷つきもせずに。
むしろ誇らしげに。
「すっ好きだよ。当たり前だろー?
なんで泣くの?」
タオルケットの端っこで私の涙を拭いながら
慌てて答える秋雄。
あなたに出会って、大好きになって
すべてがほしいと思って気づいた。
認めたくはなかった自分の・・・・・・・・・
愚かさと、いやらしさ。