sweet milk【完】
one
そうして私は今まで誰にも言えなかった
あの日の事を秋雄にすべてうちあけた。
そうする事がよかったのか悪かったのかは、
今でも本当はわからないままだけれど。
秋雄は私が話している間中、
ずっと手を握っていてくれた。
時折目を伏せて、何かを考えているような、
戦っているような顔もした。
今まで見た中で一番に、きびしい目をする瞬間もあった。
途中、何度か泣き出した私の手を
ぎゅっと握りしめて、泣き止むのを待ってくれた。
うながす事もなく、淡々と相槌を打つ秋雄は
きっと本当は私にいくつもの質問を投げかけたかったのだと思う。
それでも黙って。
じっと止まって。
耳を、傾け続けてくれた。
「話を、もっとしような」
「たくさん、なんでも色々話して
もっともっと仲良くなろうな」