ハートフル・アーツ
「ややこしいわね…」

すみれが言う


「早い話が武はただ強くなる為のモノじゃない。


戦闘と言う意味で強くなるだけなら格闘技でもやればいい。


武は全ての才能を底上げするモノ…と思えばいいよ。」

幸明が言う


「だが…幸大は底上げする才能が無いのでは?」

なずなが言う


「人はね、何か突出した才能があればそれを伸ばそうとしたり、頼ったりする。


そうすると必ず成長は止まる。

才能は一つだけ成長するには限界があるからね。

他の才能も一緒に伸ばすのが一番。


幸大君は才能はカケラ程度しか無かった。


それをどんどん底上げして今に至る。



武術の才能が多少ある奴よりも才能があるようになったかもね。」

幸明が言う


「生まれつきの才能は無いが…武により底上げされた才能が幸大にはあると?」

なずなが言う

「ま…その通りかな。

それは武術の才能だけじゃない。

スポーツの才能、勉強…その他様々だ。



才能は無いけど…伸ばすことはできるんだ。」

幸明が言う

「あの…あんまり才能が無いって言われるとへこむんだけど…」

幸大が言う


「強いて言うなら君は成長する才能があるよ。」

幸明が言う

「え?」


「自分自身を絶対的に信じて決してぶれない自信。

君はきっと自分に限界はないと思っている。

それに何かに直面しても自分ならできると思っている。」


幸明が言う


「ただの自信過剰じゃない。」

すみれが言う


「ま…そうかもね。」

幸明が立ち上がる
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