ハートフル・アーツ
道場


「ツバメ殿の帰りが遅いな…」

なずなが外を見つめながら言う


「どーせ、あのバカとイチャついているのではないですか?」

すみれが言う


「…。」

なずなから殺気が漏れる


「じょ、冗談ですよ!

まさかこんな天気の中、外で…」

すみれが慌てる


「いや、どうやらそのようだ。」

なずなが言う

「え?」




「幸大、おかえり。」


なずなが入り口に移動し道場の扉を開けた


「ただいま。」

幸大が言う

「で…ツバメ殿はなぜ、幸大に抱き上げられているのだ?」

なずなが言う


「嫉妬ですか?」

ツバメのドヤ顔


「な!?

私はべつに…」

ドサッ!!

なずなの言葉を遮るようにツバメが落下した


「痛っ!?

幸ちゃん?」

ツバメが幸大を見つめる


「あれ…?」

ガクンッ…


幸大が膝を付く


ドサッ…


そして倒れた


「幸大!?」
「幸ちゃん!?」

なずなとツバメが幸大の体を揺する

「手足が…というよりも、身体中が痙攣してるわ。

あんた、何したのよ?」


すみれが触診しながら言う


「あ〜、ちょっと激しい運動を。

ちょっと無理に体を動かしたからかな。」


肉体とは裏腹に声は普段通りだ



「…。

私も医者じゃないから詳しくはわからないけど…筋肉の痙攣。


内臓や心臓や顔の表情筋には異常は見受けられないからあんたの言う通り体を酷使したせいね。」

すみれが安堵しながら幸大から手を離した


「命に別状がないならよしとしよう。」


「え?」

なずなが幸大の後ろ襟を掴んで引き摺る



「もっと丁寧に扱ってくれよ…」

幸大が言う

「ふん…。

一応聞いておくが、女性を抱き上げて腕が上がらなくなったわけではあるまいな?」


なずなが言う

「いや…否定はできないけど。」

幸大が言う
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