ハートフル・アーツ
「ははは。

何を言うんだ?


弟子と言ったら内弟子に決まってるじゃないか。」

「内弟子って…師匠の所に住み込んで身の回りの世話をする代わりに修行時間を大幅に増やせるって言う?」

「あずさは俺の内弟子だが明日から是非とも君の内弟子にしてやってくれ。」


「いや、あずさだってそんなの嫌だよな?」


幸大が言う

「べつに今と変わらないからぜんぜん大丈夫ですよ?

それに、小鷹さんの武術、かっこ良かったです!」


「本人もこう言ってるしな?」


「いや、内弟子って言われても俺は実家暮らしだし…

あ、だったら武神流の内弟子って感じで…」


「あずさは君の弟子になりたいんだ。

そうだろう?」

「はい!

さっき、頭を守ってもらって手を怪我させてしまったお詫びもしたいんで内弟子でお願いします‼」


あずさが言う

「…俺一人で決めるわけにはいかないし…」



「それはあずさを連れ帰ってしまえばあとは何とかしてくれるだろう?」

「あのですねぇ…」


「それに、俺は深刻な事態に直面していてな…これ以上、ここには居られない。」


「師匠、どっか行っちゃうんですか?」


「まぁな。

細かい行き先は決めてないが…どこかの公園にな。」



「は?」

幸大が言う

「因みに、深刻な事態って?」

幸大が言う



「家賃が払えない…。


最近は日雇いのバイトもめっきり減ってな…


あずさは女の子だ。

野宿させるわけにはいかんだろう?」




「…。

しゃーねぇ…。

あずさを一応は連れてく。


シンジさんも武神流で住み込みでもするなら話くらいしてみるけど?」


幸大が言う

「いや、さすがにね…



さて、俺は出掛けてくる。

朝までには帰るがな。


ああ、幸大君。

何だったらあずさの永久就職口を作ってくれてもいいんだぞ?」


「布団1つに枕2つじゃ狭くないですか?」

あずさがシンジの敷いた布団を見て言う


「余計な気を回すな!」


幸大が言う



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