ハートフル・アーツ
道中

「オイラのあとをつけて、何の用だい?」


幸明が言う


「あ、いや…」

幸大が動揺する


「あとをつけるなんてのは勘違いですよ。

僕たちは通りすがりの芸人でして。


お城へ行きたいんですけど道がわからなくて。

そしたら、先程、あなたがお城へ向かうと小耳に挟み、あなたに倣い道を歩んだだけでございますよ?」


あかねが少しおちゃらけた物言いで言う


「芸人?

3人でかい?」

幸明が言う

「こちらの者は見習いでございます。」

あかねがすみれを見ながら言う


「芸人…

何か芸を見せてもらえるなら信じるよ?」


幸明が言う


「さすが、開祖ね。

疑り深いわ。」

すみれが言う



「では、私が今からこの手裏剣を投げます。

それをこの者が見事に掴みます。」


あかねが手裏剣を三枚取り出して構える


「行きます!」


ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!

「応・流流し!」

パシッ、パシッ‼

手裏剣を左右の手で綺麗に掴む


ギュルルルルッ!


幸大の横を通りすぎた手裏剣が大きく曲がり幸大を後ろから狙う


キィンッ!

幸大が持っていた手裏剣で飛んできた手裏剣を上へと弾くと落下してきた手裏剣をキャッチした



「これでいかがですか?」


あかねが言う


「まるで忍者だね。」


幸明が言う

「私は元忍者ですよ。

ワケあって芸人になりました。

で、お城へご同行しても?」


「…まぁ、良いよ。」


幸明が言う




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